【読書】河合隼雄『子どもの宇宙』岩波新書

河合隼雄『子どもの宇宙』岩波新書 黄版386 1987.9.21
https://www.iwanami.co.jp/book/b267809.html

友達のお子さんが、大学へ進学。小学校の先生になりたいらしい。それなら、お祝いに、この本をあげよう… そう思って、久しぶりに手に取って、パラパラとページをめくってみたら、面白くって、そのまま通読…
著者は、河合隼雄さん。心理学者。児童文学や、カウンセリングの実例をもとに、子どもの内面に広がる「宇宙」を紹介。

〔カネゴンの埋葬〕

P子さん、小学3年生。情緒不安定・集団不適合としてカウンセリングに。治療者と、箱庭療法などで遊んでゆくなかで、生きる力を取り戻してゆく。自らカウンセリングを卒業すると決め、卒業前日に、怪獣カネゴンの人形を、箱庭に納め、砂で埋葬。カネゴンが、まるで今までの自分であるかのように…

〔母親を眠らせない娘〕

A子さん、中学2年生。不登校・家庭内暴力。母親の寝床で大きな声を出したり、足を踏み鳴らしたりして、眠らせない。その母親とカウンセラーが話しているうちに、母親が父親(夫)に対して不満を抱えていることが明らかに。父親(夫)の、母親(義母)との結びつきが強すぎる。自分は家事をするだけ、まるで女中みたい… 母親が自分の抱える問題に気づいて、家の外にも出よう・働きに出ようと動き出すと、A子さんは「家事は私も手伝うから」と応援。たんだん登校するようになり、暴力もおさまっていった。A子さんは、母親の思いを無意識に察知して、「目覚めろ・起き上がれ」と叱咤していたのだ…

子どもの行動は、一見すると不可解であることも、たびたびある。その行動のなかにひそむ思い。その思いを、周りの大人たちは、どれだけ読み取ることができるか。読んでいてハッとする驚きの連続。おすすめの一冊です(^^)

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