【考えの足あと】「心の理論」と「秘密」

 心の理論。「自分は分かっていても、相手は分かっていないことがある。その認識ができること」。
 幼児には、この「心の理論」が十分になく、自分の分かっていることは、相手も分かっていると考えることが、ままある。
 一方、秘密。河合隼雄さんが、「秘密を持つことは、子どもにとって、親からの自立の第一歩である」と、『子どもの宇宙』(岩波新書)に書いていました。
 秘密を持つということは、子どもにとって、「自分は分かっているけれども、親は分かっていないことがある」という認識を持つことです。
 ひとが、自己と他者とを分離して認識するためには、「心の理論」が必要で、「心の理論」の形成のためには、「秘密を持つこと」が重要なのでしょう。
 河合隼雄さんが強調していた「秘密」の重要性が、ようやく、本当の意味で飲み込めた気がします。

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