【読書】駒村康平ほか『2025年の日本 破綻か復活か』勁草書房

駒村康平ほか『2025年の日本 破綻か復活か』勁草書房 2016.9
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b243571.html

2025年には団塊の世代が75歳を迎える。いっそう日本社会の高齢化が進む。いまから将来にわたって日本が抱える問題点を指摘。要点と中島コメント。

(1)「高齢者」の見直し。65歳での線引きは妥当なのか。健康寿命が延びて、いまでは75歳でも元気なひとが相当割合いる。

⇒ 同感。60歳を定年にしなくてもいいんじゃないか。私は70歳くらいまでは働きたい。ただ、この健康寿命が私の70歳になるときまで続いているかは未知数。

(2)社会保障支出のための赤字国債。このままでは償還世代が「国債の利息の支払い」と「国債から租税への支出の切り替え」のためのダブルパンチ増税を受ける。そして、国債の信用がなくなったとき、お札が紙切れになるような、ものすごいインフレが起こる。国の破産は、当然、公共サービス(電気・ガス・上下水道・道路・教育など)の停止を伴う。なお、インフレは、国債を何とか償還していくための政策としても段階的に起こりうる。

⇒ うーん、「収入は、いまのままでいいや」というスタンスでいると、増税で生活が苦しくなりそうだなぁ。そしてインフレ、国の破産に備えよう…

(3)日本の労使関係。「労働者・経営者・株主」という構成からみると、株主が金融機関(長期保有)から投資家(短期保有)になったことにより、「労働者を長く雇って育てる」という労使関係が崩れた。正規社員が減少、非正規社員が増加。そのため、中間管理職が「自分の職業能力を高める」及び「若手を育てる」時間を捻出しにくい状況になっている。その会社において必要な能力の開発・育成・継承が問題に。

⇒ 正社員になっても、かつての長期育成によるキャリアアップは、どこまで望めるのだろうか。私自身、「自分の職業能力を高める」及び「若手を育てる」ことが現在の目標なので、一致にビックリ。

(4)産業の空洞化。生産拠点が地方から海外へ。そのため、いくら国が首都圏・大企業にお金がまわる政策を実施しても、そのお金は地方まで行かない。地方の産業の空洞化が進んだことによって、地方の金融機関(信用金庫)は貸出先が無くなり、やむをえず国債や上場株式へ投資している状態。

⇒ 地方から東京への人口移動が起こっているのは、地方に本当に仕事がないからなんだなぁ。東京で生まれて育った私は、地方に拠点があるひとは、うらやましいと思っていたんだけど、やむをえない事情もあるのか… それにしても、東京は大して食糧を生産してなくて、食べるばかりなんだから、今後、食糧問題はどうなるんだろう?

(5)地方産業を育成するため国がイノベーション施策を講じたことがあった。シリコンバレーなど。だがトップダウンでは上手くいかなかった。でも地方から自発的に産業を盛り立てて成功している動きが。農村も地方都市も。

⇒ 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部のローズメイさんのクラウドファンディング「ファンあきた」も、地方からの自発的な産業の盛り立てのひとつといえます。うぉー、ますます興味がわいてきたo(^-^)o

(6)地域医療・地域介護。高齢者がますます増えていく将来に備えて、国は、病床を増やさずに人員を増やして対応していくことを選んだ。施設から在宅へ。

⇒ 後見業務でも在宅支援がこれから増えていきそう。後見人事務所もますますマンパワーが必要になるのでは。

(7)地域での高齢者の活躍。各地で先駆的な取り組みが。行政・民間事業者・大学・NPO・住民など、様々なマンパワーをつなげていくコーディネーターや中間支援組織が重要。

⇒ そうか、「事務所で子育て支援・高齢者支援」という単位じゃなくて、地域で考えてもいいのか。豊島区でもこういうことやってみたいなぁ。立教大学の21世紀社会デザイン研究科で勉強したくなってきたo(^-^)o まあこれは先の話。もっと事務所の基盤をしっかり固めてからでないと…

記述の全体的な傾向としては、「国や自治体を頼りにするよりは、自分たちで何とかしていこう」という、住民自治の発想が強かったです。同感(^^)

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