※ この記事は、2016年11月23日(勤労感謝の日)に、フェイスブックへ投稿したものです。
社会学者、小熊英二さんの分析をヒントに…
〔中央・地方・無縁〕
まず、現代日本における働き方として標準となっているモデルに、第2類型「大企業正社員・国家公務員」がある。「中央」モデルといってもいい。
「中央」とは別に、第1類型「地域に根ざした自営業」がある。こちらは「地方」モデルと呼ぶこともできる。
「中央」「地方」のどちらにも当てはまらない人々は、両モデルによる社会保障・相互扶助の仕組みから漏れ、困窮しやすくなる。このような人々が増えてきた状況を指して「無縁社会」という言葉が出てきた。「中央」や「地方」に対して「無縁」と呼ぶことのできる類型。
〔大学での教育〕
大学は「中央」モデルでの就職を奨励する。
学生も「中央」モデルでの就職を志向する。
その「中央」モデルが採用活動において重視する能力は「コミュニケーション能力」。それでは、大学での学問は、何のためにすることになるのか。
個人的には、「コミュニケーション能力」よりも、本田由紀さんの書いている「柔軟な専門性」が大事だと考える。もっといえば、大学での学問を通して、自分なりの社会観を形成してゆくのがよいのではないか。河合隼雄さんの言葉、「大人になるということは、自分なりの社会観を持つことである」。
〔中世との類似〕
堀田善衛さんが『定家明月記私抄』において描いた日本中世社会。
宮廷は「中央」、武士は「地方」に似た役割を果たしていた。
そして、宮廷にも地方にも属さない人々は、「無縁」と呼ばれていた。日本中世史学者・網野善彦さんの指摘。
「中央」「地方」「無縁」の3類型。現代と偶然の一致? 堀田善衛さんの言葉、「歴史は繰り返さず、人これを繰り返す…」。
「無縁」の人々が、どのように生き抜いていたのか、興味がある。
また、宮廷「中央」体制が崩壊したあとに来たのは、地方ごとに群雄が割拠する戦国時代だった。たしかに、中央による統制が崩壊したら、地方は地方ごとに自治してゆくことになるだろう。
それでは、現代において、これからやってくる時代は…?
地方の割拠については、各地で自分たちの食糧を生産できていたことが、その時代が成立するための前提になっていたはず。食料自給率が、東北・北海道など一部の地方を除いては、100%を大きく下回っている状況で、果たして、これから同じような時代が、やってくるだろうか。
〔専門職自営業〕
現代での「無縁」グループのなかに、「専門職自営業」という働き方が出て来ていて、社会学の研究対象になっている。
専門職自営業、いまの自分の働き方とも通じるものがあって、注目している。
いままでの自分は「地方」モデルを参照しながら働いてきた。それに加えて、「専門職自営業」についても調べて、参考にしてみたい…