【考えの足あと】Rikkyo Career Conference 2019「真理の探究」「自営業」
Rikkyo Career Conference 2019
https://www.rikkyo.ac.jp/news/2019/08/mknpps000000ypxo.html
ずいぶん前に参加したイベント。問題意識がまとまったので、メモ。
以下、「RCC」と略記します。
1 内容
現代社会では、パソコンなど情報機器の発達により、職業生活において必要となる能力が、多様化・高度化している。
学生生活と、職業生活との、距離の開き、障壁の高さ。
立教大学・経営学部のリーダーシップ・プログラムでは、この距離、障壁を超えるための教育に取り組んでいる。
〔中島コメント〕
「職業生活において必要となる能力の、多様化・高度化」については、同感です。
このイベントの司会でした中原淳さんの編著『企業内人材育成入門』には、「『定型化熟達者』から『適応的熟達者』へ」との、重視するべき能力についての見方の変遷が載っていました。
「多様化・高度化」についての注目は、「適応的熟練者」についての重視と、ほぼ同義なのでしょう。
このように、イベントの内容を個人的に受け止めた上で、以下、2・3において、個人的な感想を述べます。
2 大学の役割 「真理の探究」
座談会「星野英一先生を偲ぶ」(論究ジュリスト2013年秋号)において、民法学者の廣瀬久和さんが、こういうことを、語っていました。
「大学には、三つの役割がある」
① 官庁への人材輩出
② 企業への人材輩出
③ 真理の探究
このイベント、RCCは、立教大学の役割として、②を強調していました。
また、別なイベントで聞いたところによると、現在、立教大学の卒業生たちが、毎年、最も多く就職してゆく先は、東京都庁であるそうです。このことは、立教大学が、①の役割も果たしている、ということを示します。
それでは、③は? 立教大学において、いま、どうなっているのでしょう。
ここまで書いてきて、個人的に、以前投稿した記事のことを、思い出しました。
サン・テグジュペリの思想。「仕事の対価は、『星』である」。
私にとっての「星」は、「真理」であるようです。私は、私の仕事を通して、「あぁ、この世界は、こういうしくみに、なっているんだなぁ」ということを、知ってゆきたいようです。
3 働き方 「自営業」
大学の役割①②は、働き方としては、同様の分野に、人材を輩出してゆくしくみです。
公務員、正社員。これらの働き方を、社会学者・小熊英二さんは、ひとくくりにして、捉えていました。そして、もう一方の働き方として、「自営業」がある。そう指摘していました。
個人的に、「自営業」として働いてみて、感じていること。「自営業」は、「自由業」でもあります。特に「時間」について…
「ホワイト企業、ブラック企業」という企業観が、この現代日本社会においては、あるようです。しかし、そもそも、平日の5日間、9時から17時、人生にとって大事な1週間あたり40時間を、官庁・企業に提供する働き方は、「ホワイト」なのでしょうか。
私自身、いまは、わりあい「ブラック自営業」として働いています笑。しかし、「真理の探究」のために、もっと、立ち止まって、自分の経験の深化のための時間を確保できるよう、自分の生活を設計してゆきたいものです。
余談。大学としての役割が①②に特化していることは、立教大学に限った問題ではないようです。そもそもの日本における大学の原点である東京大学も、発祥の段階から、その役割が、富国強兵、殖産興業のため、①②に、特化していたのではないでしょうか。
連想。立教大学の法学部は、創立時の学長が、東京大学を退官した宮澤俊義さん(憲法学者)であり、当時の呼称は「ミニ東大」であったそうです。
このことと関連して、立教大学が、日本の大学のなかで、どのようにして、①②の役割を果たすグループの一員になっていったのか、その経緯についても、興味が湧いてきました。
参加したことによって、自分の問題意識が、より明確になった、興味深いイベントでした。