【法学】道垣内弘人『プレップ法学を学ぶ前に』<第2版>弘文堂
道垣内弘人『プレップ法学を学ぶ前に』<第2版>弘文堂 2017.11
https://www.koubundou.co.jp/book/b329722.html
法解釈についての入門書。手ごろな大きさ。
「法とは何か」についての説明は、省略してあります。ですので、法を学ぶにあたって、一冊目として、この本を読むのは、難しいかもしれません。
まずは、中山竜一さんの『ヒューマニティーズ 法学』を開いて、「法とは何か」そして「法解釈の重要性」について、のみこんでから、この本を開くと、興味深く、読み進めることができるかもしれません。
1 内容要約
法とは、抽象的・体系的なものである。
そうなっている理由は、要素の共通した事件一般について、平等に適用するため。
法が、抽象的であり体系的であるがために、「解釈」という作業が、必要になってくる。
条文の読み方。
解釈の方法。
法の体系についての整理。公法と私法、一般法と特別法、など。
これらの考え方・約束事について、ざっと紹介した上で、現代日本における、裁判所の組織体系や、法の担い手について、整理、説明。
最後に、法の解釈、その実例としての「判例」の読み方について、説明。
2 中島コメント
深入りしない、あっさりした説明。スラスラ、読み進めることができました。
それだけに、一読では、内容が印象に残りづらいかも…
この本において、最後に紹介のある判例については、道垣内さん自身が、評釈を書いています。その評釈をお手本として、この本を傍らに置きつつ、学習してみても、いいかもしれません。
この本を通して、法解釈の約束事について、ざっと振り返ってみて、個人的に感じたこと。それは、「よりよい法解釈の前提として、法の体系についての、該博な知識が必要になる」ということでした。
該博な知識の習得+法の解釈方法の習得=よき解釈
「該博知識」と「解釈方法」とは、学習上、相乗効果を生んでゆく、関係にあるのでしょう。
また、司法書士実務において、法の解釈に関して、スタッフさんたちに解説してゆく場合、行政法における「法律による行政の原理」という概念についての説明も、必要になるでしょう。私たちの解釈について照会する相手が、「法務局」という「行政庁」であることが、ままあるからです。
そして、「そもそも、ひとは、どうして法に従うべきことになっているのか」ということについても、入門者さんたちには、説明する必要があるでしょう。この説明、考えてみると、実は難しいです。このことについては、道垣内さんは、一般の「法学入門」に、説明を譲ったのかもしれません。
コンパクトにまとまった、読みやすい一冊でした。