【読書】相続と取引社会 ジュリスト 2016年4月号(No.1491)特集

相続と取引社会 ジュリスト 2016年4月号(No.1491)特集
http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/019555

 相続における預金、投資信託、国債について、判例による取り扱いを紹介。その判例から派生する、実務上の論点について、実務家が私見を述べる。
 読んでいて、気になったこと。債権は、遺産分割が済むまで、法定相続分による権利行使ができない。物権は、遺産分割が済んでいなくても、法定相続分による持分処分ができる。この違いは、債権と物権との、どういう違いからくるのでしょう?
 相続預金に関する最高裁大法廷決定をはじめ、関連判例の原文にあたって、「相続開始後、遺産分割が済むまでの各種遺産に関する権利関係」について、その理論構成を、調べてみたくなりました。
 その理論構成は、各種遺産に関して、遺産整理手続のなかで、手続先と、進め方について意見が食い違った場合に、どう対応すべきかということについての指針となるはずです。

 株式の相続については、準共有となる相続株式、その取り扱いについての判例を紹介。
 事業承継のための株式対策についても、簡潔に紹介。遺留分についての特例、そして納税猶予。信託、種類株式。
 事業承継に関する特例制度の導入について、松井秀征先生が鋭いコメント。コメントの要旨としては、「『事業承継にあたって、特定の後継者に株式を集中することが望ましいので、そのことを支援する』という制度趣旨には、『円滑な事業承継の必要は、相続法の定める原則に優先するべきである』という価値判断が潜んでいる」。
 「事業の継続」つまり「会社の継続」が、「相続人たちの生活の継続」よりも大事だとする考え方。こうした「会社」の扱い、まるで戦前の「イエ」みたいですね。

 賃借人の相続人が不明である場合に、契約の解除、残置物の処分が問題になる、という指摘もありました。
 たしかに、賃借権は、相続の対象になるので、賃貸人にとって相続人が所在不明だと、解除できず、残置物も処分できず、困ったことになります。
 解除についても、残置物の処分についても、死後事務委任契約によって、手当てはできそうです。ただ、その受任者が、報酬を得て、業として行うものとしますと、弁護士法72条が問題になりそうです。

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