【法学】公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート 成年後見人候補者名簿・登録更新研修(2022年度)

 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート。
 この団体は、司法書士が設立した、「成年後見人となる司法書士を、養成して登録するための、団体」です。
 その登録に関しての、更新のための研修を、受けてきました。

 講義を受けているなかで、私がとっておいたメモを、ここに転記しておきます。

第1 内容抜粋

1 財産管理

 司法書士が、成年後見人に、就任。本人は、金融資産を、複数、持っていた。そのうち、ひとつについて、評価額が、下がり続けていた。売却。しかし、その金融資産については、多額の配当もが、続いていた。長い目で見ると、持ち続けていた方が、よかった。その損害賠償請求訴訟において、後見人だった司法書士は、敗訴した。

 この案件では、親族が、後見人に対して、本人の財産の状況について、開示を求めていたのに、開示しなかったことが、後々の苦情、そして、損害賠償請求訴訟に、つながった。
 ただ、どのような場合でも、後見人が、親族に対して、財産を開示するべきかといえば、そうとも言えない。親族が、本人の財産を、自分のために利用しようと、狙っている場合もある。

2 地域福祉

 社会保障法学者・菊池馨実先生による、講義。成年後見等が必要になった、高齢者の方々を、地域で支えるしくみ。その研究。
 高齢人口は、ますます増えてゆく見通し。いままでの「施設に隔離して保護する」方法では、いずれ、対応が間に合わなくなる。
 政府による、成年後見についての利用促進計画においても、「地域が、支援の必要な、高齢者の方々を、支えてゆく」ことになっている。

3 社会保障

 社会保障法学者・島村暁代先生による、講義。立教大学教授。
 社会保障制度について、概観。
 島村先生には、ひとのライフステージにそって、社会保障のしくみについて解説する、『プレップ社会保障法』(弘文堂)という著書がある。

4 能力判定

 医師からの指摘。
 家庭裁判所が、成年後見人の要否に関して、本人の判断能力を判定するために、診断書の様式を、定めている。その様式は、専門医でなく、かかりつけ医でも、作成できるように、内容が簡略になっている。その様式では、本人の判断能力は、厳密には、判定できない。
 たとえば、様式に記載する判断力テストのなかには、「100から7を引き算していく」問題が入っている。その回答は、本人が、その財産の管理に関して、どのくらいの判断能力を有しているのかについての、参考にはならない。

第2 中島コメント

1 財産管理

 成年後見人が、被後見人の財産について、その情報を、他者に開示すること。そのことは、「身上監護義務を全うするために必要となる、財産管理権の範囲において」のみ、適法となるでしょう。
 そして、その範囲について、画定するためには、「そもそも、身上監護義務とは、どのような義務なのか」について、あらためて確認しておく必要があるでしょう。

2 地域福祉

 戦後日本においては、家族の標準を、「会社人間×専業主婦」としてきました。その分、地縁は、ほどけてきました。その地縁を、どこまで、結び直すことができるでしょう。注目の動きです。

 このように、「成年後見」は、「地域福祉」や「地域づくり」に、関わる仕事です。
 地域で暮らす、高齢者の方々について、その生活を、支援する。施設に入居したときには、その後の空き家に、対処する。
 「成年後見」が、このような仕事であることは、私が以前から記事に書いてきた、「暮らすように働く」こととも、親和します。
 地に足のついた仕事。根のある仕事。これからも、取り組んでいきたいです。

 このことに関連して、私のなかには、森鴎外記念館のコレクション展「鴎外の東京の住まい」へ行って以来、次のような関心が、芽生えてきています。

――東京は、そもそも、どのような都市なのでしょう。

 東京さんぽを楽しみながら、探ってゆければ。
 このような関心について、本屋さんにて、関連しそうな書籍を、何冊か、めくってみました。
 どうやら、江戸・東京に、人口が集中して、日本における主要都市になった、その要因のひとつが、「水が豊かだったから」らしいです。面白そうな手がかり。

 更に関連して、鴨長明『方丈記』からの、抜粋。

――ゆく河のながれは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

 ながれる水は、「洗い清める」役割をも、担うでしょう。
 都市において、「水が豊かであること」は、衛生の観点からも、重要であるはずです。

3 社会保障

 島村先生の講義は、私の事務所においての、社会保険制度の、更なる整備にあたっても、参考になりました。
 島村先生の『プレップ社会保障法』を、個人的に、読んでみたくなりました。

4 能力判定

――家裁の定める、診断書の様式では、本人の判断能力は、厳密には、判定できない。

 とはいえ、診断書の全てについて、専門医による診断を求めるとなると、医師の人手が、とうてい、足りなくなるでしょう。
 そもそも、ひとの「人格」や「意思」と同じように、「判断能力」もまた、フィクションなのかもしれません。「判断能力」は、実測することができるのでしょうか?

Follow me!